あの日溺れた海は、
どんどん、わたしの知らなかった先生が増えていく。最初は意地悪で、何考えているのかわからなくて、性格悪そうな先生だと思ってた。
でも本当は違うって最初から分かってた。
わたしの小説を添削してくれたのも、破られた原稿用紙を修復してくれたのも、先生。
わたしがパニックになれば水を買ってくれるし、変なキーホルダーを贈ってもありがとうって言ってくれるし、冷たい態度を取られてるって勘違いしててもそうじゃないって弁明してくれる。
本当はすごく優しい人なんだよ。
ずっと分かっていた事なのに、その瞬間、ドキッと胸が弾んで、それから熱くなっていく。
ああ、そうだ。
わたし、先生のことが好きなんだ。