あの日溺れた海は、

要約すると進展なし。
 
 
そりゃそうだよ。わたしは生徒、藤堂先生は教師。何か進展があったらおかしいよ。
 
わたしなんて、ガキくさいし、顔だって特別可愛いわけじゃない。

スタイルがいいわけでもない。

勉強だって1番になれるわけじゃない。

運動なんてもっての外。

小説は…書いてて楽しいけど才能があるかはまた別。

それ以外に趣味とか特技があるわけではない。
 
わたしなんて、わたしなんて…
 
 
途端に目の前が黒く塗り潰されていく。あ、まずい。そう思った時にはもう遅かった。息をしようと口を開くとゴボゴボと大きな泡が噴き出る。
 


『お前なんか!』
 


苦しい。
 


『調子に乗るな!』
 


助けて。誰か。


 
『溺れてしまえ』
 


藤堂、先生…
 
 
 
 
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