あの日溺れた海は、
既に空っぽの教室に戻ると、ロッカーからカバンを取り出し机の中の教科書やペンケースを詰めていく。
そして先生がくれた付箋をこっそりノートに、『鍵当番の藤堂より』の隣に貼りつけて眺めた。
ただ文字を見てるだけでドキドキしてくる。
好きだ。
ノートも仕舞い込んで、カバンを背負い、教室から出ようと机の間を縫いながらドアまで向かうと同時にさっきポケットに入れたスマホを取り出して、通知を確認した。
緑色のアイコンの1つは亮から「大丈夫か。部活帰り一緒に帰れなくてごめんな。しんどくなったら電話ちょうだい」というメッセージだった。そしてもう一つは…