あの日溺れた海は、

「私が丁度その場にいた原田さんと井上さんを捕まえてここに誘ったんです。だから井上さんを叱らないであげてほしいです。」
 

「っ…んだよ。」


亮はそう呟くと顔を顰めてプイッと背けた。
 


先生が嘘をついてでも私を庇ってくれたのが嬉しかった。

こうやってサラッと守ってくれるからまたさらに沼にはまってしまう。
 
 

どうしよう。どんどん好きが溢れてく。
 

それと同時に亮が珍しく怒っている姿を見て罪悪感を感じた。


本当はそうじゃないのに…。
 

でも文化祭が終わった後、武田さんから「ありがとうね♡」なんてきたら、協力せざるを得ないじゃん。
 

亮に謝罪LINEを送ったけど、相当怒っているのか返事が来なかった。

今までわたしが返事しないことはあっても亮は必ず連絡くれたのに…。
 
そう思うと少し寂しかった。
 


でもいつかはお互いに好きな人ができて、付き合って、そしたら今までみたいな距離感で接するのもおかしいから。
 
 
これも自然なことなんだって受け入れるしかないんだ。
 
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