あの日溺れた海は、
10.本当の気持ち
「ごめんね、わたし、武田さんのことがほっとけなくて。」
「はながそう言うならわたしも協力するけど、どうもあの武田っていうやつ好きになれないのよね〜。好きなら誰かの力を頼らず自力でいけよって感じじゃない?」
とある日の昼休み、廊下の隅で月とこの後の5、6時間目にある修学旅行の班行動の時間のことを話していた。
月の言葉に何も言い返せずははは、と返すと、「も〜」とため息混じりの言葉が返ってきた。
「華はわかってないなあ。齋藤は本当は…。」
月はそこまでいうと、しまった、という顔をして口をつぐんだ。
亮が、なに?と聞く前に、月は「あ〜そうだ〜クラスに戻ってやらなきゃいけないことが〜…」とわざとらしく声を上げると、「じゃあ、また後で。」と教室に戻っていった。
わたしもそんな月を見て頭上に?を浮かべながら教室に戻った。