あの日溺れた海は、
そうだ。藤堂先生だもん。
受け入れてくれるかどうかはおいといて、
きっと受け止めてくれる。
それに芹沢先生が「自分本位でいい」って言ってくれたから、本当にそうなんだ。
「ありがと、ございます、せんせ。」
「ふふ、どういたしまして。こうして華さんが感情をむき出しにして僕に話してくれるようになったんだ。僕も会ってお礼がしたいよ。」
そう冗談っぽく笑いながらいう先生に、わたしもつられて笑った。
先生に、この気持ちを伝えたい。
『付き合う付き合わないは置いといて意識してもらうことが重要じゃない?』
『華さんはもっと自分本位でいいんだよ。』
『好きなら好きって言わなきゃ!もったいないじゃん?減るもんじゃないし。』
みんながくれた言葉たちが心の中で反芻する。
『先生、好きです。』
その中でそっと呟いてみた。
心の中にいる想像の先生は、どんな顔をしているのかわからなかった。