あの日溺れた海は、
「そういえばさ、金曜日に1年生が部活動見学しに来るんでしょ?」
どこから聞きつけたのか、月は思い出したようにそう言うとわたしは「そうなんだよねえ〜。」と答えた。
「有名な子でしょ?」
「え、知らない。そうなの?」
初めて聞く情報にわたしは驚いてそう聞き返すと、月は頷いた。
「なんか中学の時に沢山賞を取ったとか。ネットでも活動していて本も出版してるらしいよ。」
そんなにすごい子が見学に来るならおじいちゃんもちゃんと言ってくれればいいのに、と少し腹立たしく思ったが、すぐにそんなすごい人と関われるかもしれないという期待が胸をいっぱいにさせた。
そんな目をキラキラさせているわたしを見て、月は大袈裟にため息をついた。
「華ってすごいよね。嫉妬心とかなく素直に楽しみにしてるんだから。」
「嫉妬?うーん…よくわかんないけど、ただ話してみたい!」