あの日溺れた海は、

「っていうかさ、玲が美化委員だったなんてね!あわたし知らなかった〜。」


「確かに。でも玲ってそういうの自分から言うタイプでもないしさ。」


月の言葉にそう返すと、月も「まあね〜。」と相槌を打ったかと思えば何やら面白そうな表情を浮かべた。

その意味ありげな笑みに「何?どうしたの?」とわたしは聞いた。




「もしかして、玲が犯人だったりして…!」


そう言う月にわたしは呆れた、といった様子でため息をついた。


「玲はあの最初に原稿が消えた日、わたしへのサプライズの準備でずっと一緒にいたんでしょ?」


わたしの言葉に月はドヤ顔で首を横に振った。


「あの日、玲は遅刻して、準備を終えたわたしたちと学校で待ち合わせをしていたの。」

そう答える月に、なんでそういう大事なことをさっさと教えてくれなかったの!?と叫びそうになって、いやでも、と心を落ち着かせた。

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