あの日溺れた海は、

「亮のことは本当に親友として大事に思ってる。それはこれからもかわらないよ。

でもね、振られてもきっとまだ藤堂先生が好き。

だから、ごめん。ありがとう。」


心の底から思っていることを伝えると、亮は「そっか、また振られた」と笑った。


わたしも笑った。

そして、「じゃあ。」と言って手を挙げた。

「また、明日。」亮も同じように手を挙げた。
そしてわたしは教室を後にした。



数学教科室の看板が目に入ると、緊張で更に心臓が高鳴った。


いわれる言葉はわかってるつもりだし、心の準備も昨日の今日ではあるけどしてきたつもりだ。


それでも胸が高鳴って、胃が痛むのはこれが初めての失恋だからかもしれない。

< 344 / 361 >

この作品をシェア

pagetop