あの日溺れた海は、

「玲がわたしにアドバイスする意味がわからないわ。直接言えば良いんだし…」


そう一生懸命否定するわたしにの言葉を遮って月は畳み掛けた。


「じゃああの手紙の返事が置かれてた日、なんで玲が先にいたの?」


「いや、あの日は玲が来た時に鍵はもう空いてたって…」


「じゃあ、それが嘘だったとしたら?」


その言葉に教室は沈黙で包まれた。気づけば教室の中は私たち2人きりになっていた。


思わず目を伏せるわたしになぜか勝ち誇ったような笑みを浮かべて「それに…」と続けた。


「なぜそうしたか、なんて玲本人に問い詰めたらいいんじゃないの?」


そう言い終えた月にわたしは否定することは出来ず「確かに。」と呟くことしかできなかった。


「とにかく明日の放課後、玲のところに聞きに行こ。今日はもう帰ってるだろうから…。」


時計を確認すると帰りのHRが終わってからだいぶ時間が経っていた。月の提案に「そうだね。」とわたしが言いかけた途端。
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