あの日溺れた海は、
パンッ!


破裂音に驚いてガバっと顔を上げると、そこにはにやけ顔の部員たちがいた。手には既に中身が出ているクラッカーが握られていた。
え?なに?まだ夢?
状況が読み込めず間抜け面で彼女たちを見つめていると、そのうちの一人の月が「せーのっ!」と掛け声を出した。






「「「お誕生日おめでとー!」」」







つまり月たちが言うには、部活を休むというのは四人で口裏を合わせて嘘をついてたようで、わたしが部室でひとり不貞寝している間に彼女たちはわたしへのサプライズを成功させるために奔走していたということだった。


「だって、華ちゃんったら、自分の誕生日に部活を入れるなんて思わなかったんだもの~。」


おっとりとした口調でそう言う彩加(あやか)にわたし以外の部員はうんうんとうなずいた。


「華ってどっか抜けてんのよね。頭はいいのに馬鹿っていうか。」

ため息交じりにそうずけずけと言う喬佳(きょうか)の言葉に「そうそう!だってサプライズされる可能性とか考えなかったんでしょ!?」と笑いながら月は言った。


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