あの日溺れた海は、

「もう、とぼけなくっていいよ。山崎さんが赤ペン先生なんでしょ?あーなんか納得いった。近くにいるといえば…まあそう言えなくもないし、何よりも敬語で、沢山の賞に選ばれるくらいだもんね。あんな的確なアドバイス送れるのも納得いった!」



そうペラペラと時に感心しながらそう述べるわたしに山崎さんははっきりと「は?何のことでしょうか。」と言った。



もうこれ以上とぼけたって無駄なのに。とため息をついて「あのねえ。」と口を開いた瞬間。




「華っ!!」


その声の方を向くと、ぜいぜいと肩で呼吸をしながら必死の形相でわたしを呼ぶ月がいた。
教室から走ってきたのだろうか、髪は少し乱れ、息も荒い。



「良いところに…「ちょっときて!」


わたしの言葉を遮る月の勢いに負けてわたしは黙ってついていくことにした。

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