あの日溺れた海は、
3.藤堂先生という人
副担任である藤堂先生が赤ペン先生だというまさかの事実が発覚してから、しばらくはいつもと変わらない日々を送っていた。
いや、少し変わったこともある。
わたしがようやく藤堂先生の名前を覚えたこと。
今まで副担任なのにほとんど関わりがなく、存在すら意識したことのない先生を、視線に捉えるたびに気まずさを抱えることになった。
気まぐれって、どういうこと?なんで?と湧き上がる疑問をぶつけようと接触を図ろうともしたが、意図的になのか、ただタイミングが悪いのかそれも叶わなかった。
わたしは先生の姿が目に入る度にいちいち動揺しているのに、そんなわたしを見て先生は顔色を変えることさえせず、腹立たしささえ感じていた。
そして…