あの日溺れた海は、
…はいいものの、何をどうすればわたしが進学するべき大学が出てくるのかわからなくて、画面を見つめながらフリーズした。





『小説家 大学 おすすめ』


無い頭で必死に考えた結果、おそるおそる検索エンジンに入力をして、少ししてから意を決してエンターキーを押そうとした瞬間。



「はぁ…。」



後ろから聞こえた深いため息に驚いて大きく肩をゆらすと、殆ど反射的に後ろを振り向いた。


そこには呆れた表情をぶら下げた藤堂先生が立っていた。


「あ…と…。」

気まずさと、恥ずかしさと、少し遅れてやってきた嫌悪感にうまく言葉を返せずに固まっていると、先生は口を開いた。


「小説家になりたい、と夢を掲げている人の語彙力じゃないですね。」


先生はそうぴしゃりと言い放つとパソコンの画面から顔を離した。

そのまま書類の棚を漁りだす先生の背中をたっぷり憎しみを込めて睨み、反撃を開始した。


「その小説家になりたい、と夢をもつ健気な女子高校生の原稿用紙を勝手に奪って添削したのは誰ですか。気まぐれだなんて言ったって、わたしまだ納得いってないですからね。」
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