エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
「日奈乃?」
不意に名前を呼ばれ、即座に目を開けた。リビングのドアから心配そうな面持ちをした稀一くんがこちらに近づいてくる。
「どうした? 大丈夫か?」
「うん」
立ち上がることもできず、説得力のない声で力なく返事する。
「横になるよりね、こうして体を起こしているほうが楽なの」
尋ねられる前に説明する。横になると胃液か逆流しそうな気持ち悪さがあるので、意外とこの体勢が落ち着くと気づいた。
「稀一くんはベッドで休んでて。私は大丈夫だから」
ところが、稀一くんは私との距離をさらに縮めてくる。目を丸くしているとおもむろに私のそばに来て、そっと右隣に腰を下ろした。
続けてこちらに顔を向けると、稀一くんは私の頭を遠慮気味に撫でる。
「こういうとき男は情けないな。苦しんでいる妻になにもしてやれない」
顔を歪める稀一くんに、私は小さく首を横に振った。
「そんなこと、ないよ。稀一くん、忙しいのに私の代わりに家事をいっぱいしてくれて」
「日奈乃の代わりってわけじゃない。共働きだし夫婦なんだ。できるほうがすればいいだけだ」
そこで彼が一度言葉を止めて私と目を合わせる。その顔はどこか申し訳なさそうだ。
「むしろ今までいろいろと日奈乃に任せっぱなしだったな、やっと気づいた」
不意に名前を呼ばれ、即座に目を開けた。リビングのドアから心配そうな面持ちをした稀一くんがこちらに近づいてくる。
「どうした? 大丈夫か?」
「うん」
立ち上がることもできず、説得力のない声で力なく返事する。
「横になるよりね、こうして体を起こしているほうが楽なの」
尋ねられる前に説明する。横になると胃液か逆流しそうな気持ち悪さがあるので、意外とこの体勢が落ち着くと気づいた。
「稀一くんはベッドで休んでて。私は大丈夫だから」
ところが、稀一くんは私との距離をさらに縮めてくる。目を丸くしているとおもむろに私のそばに来て、そっと右隣に腰を下ろした。
続けてこちらに顔を向けると、稀一くんは私の頭を遠慮気味に撫でる。
「こういうとき男は情けないな。苦しんでいる妻になにもしてやれない」
顔を歪める稀一くんに、私は小さく首を横に振った。
「そんなこと、ないよ。稀一くん、忙しいのに私の代わりに家事をいっぱいしてくれて」
「日奈乃の代わりってわけじゃない。共働きだし夫婦なんだ。できるほうがすればいいだけだ」
そこで彼が一度言葉を止めて私と目を合わせる。その顔はどこか申し訳なさそうだ。
「むしろ今までいろいろと日奈乃に任せっぱなしだったな、やっと気づいた」