ボトルメール
「大丈夫？」
肘を足につけて俯いていると頭の上から楓の声が聞こえた気がした。ゆっくりと上を向くとそこには楓がスポーツドリンクの入ったペットボトルを持っていた。
「え、何が？」
自分の悩みなんてちっぽけなものだから楓なんかに相談出来るわけなかった。
「何がじゃなくて！」
楓はいきなり大きな声を出した。
「ごめん…とりあえずこれ飲んで落ち着いて？」
俺が少しだけびっくりしていると楓は一旦冷静になったのか謝ってから持っていたスポーツドリンクを俺に渡してきた。そして、
「あの時のお礼。」
あの時と言うのはおそらく楓が熱で寝込んだ時にあげたスポーツドリンクのお返しだろう。
「いいよ。別に、体調悪いわけじゃないし」
別に体調が悪い訳では無い。でも、気分は悪かった。
「いいからあげる！」
俺の手に無理やりペットボトルを渡してきた。
「あ、ありがとう｣
ここで返すのもあれなので素直に受け取っておくことにした。
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