ボトルメール
おそらく朱里さんにはコーヒーが入っている。
「早速だけど、彰くんの病気だけど少し前なら十年生きるのが限界だったけど、今は二十年位は生きられるようになった。」
「二十年…って治らないってことですか?寿命を伸ばすんじゃなくて治して欲しいんです!」
「楓…少し落ち着けよ」
ヒートアップした楓を彰が止めた。
「それは私も思うんだが、そう簡単にはいかないんだよ。彰くんの病気は指定難病に登録されてる病気なんだ。」
「してい…難病?」
楓は訳が分からずオウム返しをした。そういう俺もよく分からなかった。でも、朱里さんと彰は既に知っているのような顔をしていた。
「簡単に言うと治らないんだよ」
彰は優しい声で、もう死を受け入れているかのような声で楓に説明した。
「なに…それ」
楓は驚愕していた。手や足が震えていた。
「でも、まだ望みはある。」
そんな楓を見て、芽吹さんは口を開いた。
「……望み?」
楓はまたオウム返しをした。
「じゃなきゃ、わざわざ君たちをここに連れてきてないよ」やっと朱里さんが口を開いた気がした。
「これをやるのはもちろん彰くん次第だ。やるにしても今すぐじゃなくていい。」
「それで!希望って!?」
楓は待ちきれず体を乗り出して芽吹さんに問い詰めていた。
そんなことを言っている俺も、その『希望』とやらの返事を待ちきれず気づいたら少しだけ体が前のめりになっていた。
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