ボトルメール
蓮さんの言いたいことはわかる。自分が深い眠りについていて、それから目覚めた時、愛する人がいなくなっていたら、俺なら自殺すると思う。いや、それは少し大袈裟かもしれないが、途方にくれていると思う。
「わかってますよ。俺は元々、俺は彰の考えを尊重するつもりでしたし。」
そんなことはない。むしろ俺はどんな手を使ってでも彰に生きて欲しかった。でも、今の朱里さんの話を聞いたら、考えが少し変わった。
「全部を尊重して欲しいとは言ってないからな、もちろん、彰もあの人も他人を優先することが多いがちゃんと一人の人間なのだからミスもある。だから、時には俊の意見や楓の意見も取り入れて最善の方法で『幸せ』というものを掴んで欲しい」
朱里さんの言葉が深々と胸に突き刺さった。
「俺、本当は彰にだけは死んで欲しくないんです」
「…それは楓が悲しむからか?」
「いえ、それだけではありません。たしかに、楓には悲しんで欲しくない。俺はもうあんな悲しい顔を二度と見たくない。でも、それだけじゃありません。俺はただ、昔みたいに三人で仲良く過ごしていたいだけなんです。」
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