ボトルメール
俺は今、自分の思っていることをそのまま朱里さんへ話した。さっき、彰の意見を尊重すると言ったばかりなのに。
「それは彰も楓も同じことを考えてるさ。もちろん私も、二人の父親も、そして、俊の両親も…」
「みんなが幸せになる方法ってないんですかね…」
「幸せの価値は人それぞれ違う。だから、『みんなが』というのは無理な話だ。大勢の人間が幸せになろうとすると必ず一人や二人不幸になる人間が出てくる。それは…難しい質問だな。すまないが、私にもそれは分からない。」
「いえ。俺の方こそ変な質問してすみません」
「いや、いいんだよ」
そんな会話を朱里さんとしていると走りながら彰と楓が戻ってきた。
「ほら、買ってきたぞ。」
彰は俺の分のお守りを二つ渡し、楓にも同じものを渡した。そして、楓は彰に木箱を渡した。
「くれんの?」
「うん!」
「ありがとう。大事にする…」
彰はその箱を握りしめながら、そう呟いた。
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