ボトルメール
彰の残された時間は少ないのだ。客観的に見ればなんともないかもしれないけど着実に彰の心や体を蝕んでいる。
「そんな落ち込まないでよ。それにさ、私謝りたかったんだ。」
「え?楓が俺に?」
「うん」
楓が俺に謝ることなんて何一つない。むしろ俺が楓に謝りたかった。楓にだけ無理をさせてしまったから。そして、これからも楓にだけ無理をさせる。俺は馬鹿だしなんにも出来ないから、と言う百済らない理由で。
「中学の頃、くるみちゃんを家まで送った時に言った言葉覚えてる?」
「えっと…なんだっけ」
楓に言われたことなんて沢山あるから『これだ』と言う断定できるものがなかった。
「『私は俊のことが好き』って言ったじゃん?あれ、本当は別に幼馴染だからとかそういう理由じゃないんだ。」
頭が混乱していた。何が何だか分からなかった。
「…え?」
思わず聞き返してしまう程だ。
「あれ、恋愛感情として言ったんだ。でも、あの時言ったらダメだと思ってああ言うしか無かった。」