ボトルメール
「お腹減ってる?なにか作ろうか?」
このセリフは俺が言った訳では無い。楓が俺の冷蔵庫を勝手に開けてそう言ったセリフだ。
「じゃ、お願いしようかな」
楓の手料理なんて久しぶりに食べる。確か、芽吹さんや春斗さんに初めて会いに行った時に食べた以来だ。
楓は俺の知らない歌で鼻歌を歌いながら料理をしていた。時々、「醤油ってどこ?」とか「味醂ってどこ?」とか、調味料の場所を聞いてきた。
俺はその間テレビを見ようと思い、テレビをつけると俺が最近ハマっている女優が出てる映画の地上波で放送されるやつが流れていた。
その女優は相変わらず演技が上手く、顔も可愛い。
何も考えることなくテレビを見ていたら俺の携帯が音を鳴らした。ちらっと楓の方を見るとまだ食事の準備をしていた。とりあえず、電話に出ることにした。
「もしもし?」
『もしもし俺だよ』
電話の相手は彰だった。まぁ、携帯の画面を見た時に分かってはいたけど。
「どうしたの?」
「今、楓と一緒か?」
「え?あ、うん。」
多分鼻歌が聞こえてしまったのだろう。別に嘘をつく必要はいので正直に答えた。
< 276 / 348 >

この作品をシェア

pagetop