ボトルメール

『そっか。ならちょうどいいや。明日芽吹さんのところに来てくれないか？』
「え？芽吹さんのところに？なんで？」
『絶対来いよー』
そう言って電話が切れてしまった。
「電話の相手って彰？」
料理が終わったらしく、テーブルに色んなものを並べたがら俺にそう言った。
「あ、うん。なんか、芽吹さんのところに来てって」
「何かあったのかな…」
楓はやっぱり心配そうにしていた。かく言う俺も心配だ。彰の声は別に元気があったわけでないが、いつも通りの声だった。
「考えてもしょうがないね。とりあえずできたから食べよ？」
「そうだね。」
俺はソファから立ち上がり、テーブルの方へ向かうと、そこには初めて楓の手料理を食べたあの日から比べ物にならないくらい成長してた。
「上手い！」
いただきますをして、一口食べたら感想がそれだった。
「本当？私、結構成長してるでしょ？」
「…楓はいい奥さんになるね」
俺は笑いながら、軽くからかいも交えてそう言った。