ボトルメール
「楓はさぁ、結婚式…あげたい?」
「出来ればあげたいけど…金銭的に無理でしょ?私と俊ってまだ就職してないし。」
「金銭面は大丈夫だよ。あとは楓があげたいかあげたくないか。」
父さんからお金を借りたことは言わないことにした。
言ったら普通に、やらなくていいと言うだろう。
「やりたい…かな」
「…そっか。じゃあ、今度式場決めようか」
「本当に平気?」
「心配しすぎ。本当に大丈夫だよ。」
俺は笑って答えた。お金を返すには俺が頑張ればいいだけの話だ。
「そういえば俊って就職先は決まった?」
「まだ決まってないけど、やりたいことは見つかってる。」
「いいなぁ。私、まだ先が真っ暗だよ」
楓は満点の星空を見上げながら俺に向けてそう言った。
「楓は頭がいいからなんでも出来そうだね」
「いや、あれは彰を助けるために必死だっただけだよ。だから、今は何も考えてないかな。将来の夢とか」
「そうしたら、俺が養ってあげるよ」
俺は思わず変なことを口走っていた。しかも、随分と上から目線で。
「何?二回目のプロポーズ?」
楓は俺の顔を覗き込むようににやにやしがらそう言った。
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