ボトルメール
「あ、そうだ。そういえば彰は仕事どうするんだ?」
「……決めてないかな。」
「俺はスポーツトレーナーになる。」
「俺たちが通っていたとこって元々そういう大学だもんな」
対して驚くことなく返答してきた。
「…確かにそうだけどな」
「あ、そうだ。楓から聞いたんだけど、結婚式って俺らだけでやるの?」
「あ、うん。費用がね。俺バイトしかしてないし、まだ就職してないし。」
なんとも情けない。こんな奴が夫で彰は心配なのだろう。
「幸せにしてやれよ」
「彰こそ。くるみのこと幸せにしてあげろよ?」
「……え?」
「俺が気づいてないとでも思ったか?」
これはつい最近のことだが、俺と楓がアウトレットでぶらぶらしていると手を繋いだ彰とくるみが歩いているのを見かけた。楓の方は多分気づいてないと思うけど。
「……バレてたのか。」
彰はふっと笑った。やっぱりあれは見間違いではなかったみたいだ。あくまで似てる人だったがあれは二人だったみたいだ。
「うん、知ってた。」
それから肉を焼きながら、楓に聞こえないようにコソコソ彰から馴れ初めみたいな話を聞いた。
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