ボトルメール
「お邪魔します」
楓が玄関のドアを開けてくれたのでそのまま中に入った。
「俊じゃないか。どうした?」
「ちょっと二人に提案がありまして…」
「ここで話すのもあれだし中入るか?」
確かに玄関でするような話では無いので晶子さんに流されるまま楓とリビングに入った。
「それで…案って何?」
朱里さんより先に楓が口を開いた。
「いや、そんな大したことじゃないんだけど。それに朱里さんの承諾が必要なんだけど…」
「…なに?」
「三人で前みたいにここで過ごさない?もちろん楓のお父さんが家に帰るまでの間だけ」
楓達のお父さんが楓達の家に帰ってくるば強制的に楓は家に帰らなきゃならないのだ。あくまで今は、楓のお父さんが出張でいないからここにいることを許されているだけに過ぎない。
「……でもさ。そうしたら彰が気を遣うことに変わりはないじゃん」
言われてみればそうだ。ここに来たって結局状況は変わらない。じゃあ、どうすれば…。
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