ボトルメール
電車に乗ると席が二つしかなかったので女子二人を座らせた。楓は席を俺に譲ろうとしたがさすがに座れなかった。
「楓先輩は今日の試合観てどう思いました?」
俺がイヤホンで音楽を聞いていると佐伯が楓にそんな質問をしていた。少しだけその回答が気になったのでポケットに入っていたスマホの音量ボタンを押して音量を下げた。
「…うーん私はやっぱり俊と彰のチームプレーがまた見たいと思っちゃったかな。ほんとにそれだけ。昔みたいに馬鹿みたいにバスケして馬鹿みたいに笑って。私はそれを見てるだけで幸せだった。」
「あの……彰先輩って本当はどこも怪我してないんじゃないですか?」
佐伯がそう聞いた瞬間に俺は目を瞑り音楽に集中している振りをした。俺はそうするしかなかった。
「……なんでそう思うの?」
「いや、どこか怪我をしてるなら…私なら歩き方だったりとかで気づきますよ」
「……本当に怪我だよ。でも、多分復帰は無理かな…なかなか治らないらしくて」
苦しい言い訳だとは楓自身も分かってはいるだろうけどしょうがなかった。そして、俺は黙って聞き耳を立てることしか出来なかった。
「楓先輩は今日の試合観てどう思いました?」
俺がイヤホンで音楽を聞いていると佐伯が楓にそんな質問をしていた。少しだけその回答が気になったのでポケットに入っていたスマホの音量ボタンを押して音量を下げた。
「…うーん私はやっぱり俊と彰のチームプレーがまた見たいと思っちゃったかな。ほんとにそれだけ。昔みたいに馬鹿みたいにバスケして馬鹿みたいに笑って。私はそれを見てるだけで幸せだった。」
「あの……彰先輩って本当はどこも怪我してないんじゃないですか?」
佐伯がそう聞いた瞬間に俺は目を瞑り音楽に集中している振りをした。俺はそうするしかなかった。
「……なんでそう思うの?」
「いや、どこか怪我をしてるなら…私なら歩き方だったりとかで気づきますよ」
「……本当に怪我だよ。でも、多分復帰は無理かな…なかなか治らないらしくて」
苦しい言い訳だとは楓自身も分かってはいるだろうけどしょうがなかった。そして、俺は黙って聞き耳を立てることしか出来なかった。