相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
遥の緊急帝王切開が始まった。

俺が今までスキルを磨いたのは全てこの日の為。
遥と結婚して七年…

俺の家族は遥一人でいいと思っていた。

そんな俺がもうすぐ二児のパパになる。

メスの握る手も震えていた。

今までになく緊張するオペ。

「奏弥さん…」


遥の呼ぶ声に反応して、彼女と目を合わせる。
「すまない…」
「お願いしますね」

「あぁ」

遥は俺に全てを委ねるように目を閉じた。
俺は彼女の腹部にメスの滑らせていく。
遥の為に何度もシミレーションを重ねた。全ては万全の体勢だ。

遥の子宮を拡張していき、ようやく我が子に辿り着く。

ずっと会いたかった子供たち。

俺が一人目の我が子を取り上げた。

一人目は男児。

腕の中にズシリと重みを感じる。

男児はすぐさま元気な声を上げて、泣き出した。

俺は安堵しながら、杉村先生に渡して、次の子を取り上げた。
「聞こえるか?一人目の男の子が生まれたぞ…」

「聞こえます…」
遥の閉じた目から涙が溢れた。
二人目は女児。
一人目よりもやや小さく、泣き声も弱かった。
「二人目の女の子が生まれたぞ…」
「はい・・・」

無事に我が子と対面を果たして今まで背負っていた大きな重圧から解放された。





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