相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
東京の観光名所を巡り、ランチは浅草近くの老舗料亭『吉兆庵』の懐石料理。

何だかバス酔いしたのか気分が悪かった。

「顔色悪いな…どうした?バス酔い?槇村さん」

「かもしれない…」

「…そっか…」

「だから…食べれないかもしれない…」

見た目も上品で美しい懐石料理に箸が付けられなかった。

「最後まで頑張れる?」

「何とか…」

バスで戻った後も彼は私の体調を心配した。

「これ」

彼は自分のカーディガンを脱ぎ、膝に掛けてくれた。

「ありがとう…」

「俺の方こそ…俺の提案で付き合わせてすまない…」

「いいのよ…」

初めてのデートだと意気込んでいたのに、彼に余計な気を遣わせてしまった。

もう次誘っても、彼は断るかもしれない。

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