相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「えっ!?」

花音と俺のツーショットに院長は目を円くした。

「花音…会わせたい人って…長谷川先生?」

「うん・・・」

彼女は首を縦にして頷いた。

「・・・まぁ…掛けてくれ」

院長はプレジデントデスクの椅子から腰を上げて、俺達を応接のソファ椅子に座らせた。

院長のそばで控えていた若い男性が給湯室に入って行った。

「・・・大事な話と言ったけど…」

いつもなら、お喋りな院長も口数が少ない。

「・・・私・・・」

花音は自分をジッと見つめる院長の視線に怯んでしまい、語尾を濁した。

「…花音さんは俺の子を妊娠しました…責任にとって結婚するんで、許して下さい…院長」

俺は包み隠さず、院長に言って頭を下げる。

「・・・長谷川先生…君はまだ東亜に来て・・・一ヵ月半だよね・・・ウチの娘といつから付き合ってるの?」

「それは…」

交際0ヵ月・・・

院長には完全に見透かされていた。

「すいません…交際は始めたばかりです…」

まだ、始まってもいないけど。
俺は嘘を付いてしまった。

「・・・私、妊娠しにくいカラダだし…大丈夫かと思っていたんだけど…」

「花音・・・」

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