相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
その日の夜。

奏弥さんが私の病室を訪れた。

「今夜の当直杉村先生が交代してくれた…」

「そうなんだ…」

「そうだ・・・二人で選んだベビー服と玩具が届いていたぞ」

奏弥さんが持って来た段ボール箱を開けた。

中に入っていたのは私と奏弥さんがカタログで選んだベビー服と玩具だった。
あの頃はまだ赤ちゃんも生きていた・・・

パパとママになる逸るキモチが抑えられず、二人でネットで衝動買いしてしまったのだ。

「・・・今の私達には不要だよね・・・」

「・・・そんなコトないぞ…遥」

「だって…」

「ベビー服のサイズは大きいけど…着せてやればいい…玩具だって…棺の中に入れてやればいい・・・」

「奏弥さん・・・」

「・・・だから、不要なんかじゃない…」

「・・・」

「そう言えば…遥には性別言ってなかったな…」

「!?」

「男の子だった…」

奏弥さんは布のサッカーボールを手にした。
中高時代、サッカー部に所属して全国大会にも出場経験のある奏弥さん。
もし、無事に生まれていたら、この子にサッカーを教えていたかもしれない。
「・・・一緒にサッカーしたかった?」

「ん、あ・・・」

彼は言葉を濁した。




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