相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
赤ちゃんの火葬を終え、一週間が過ぎた。
「そろそろ…仕事に復帰したいんだけど…ダメ?」

「ダメだよ…」

「でも・・・私…ずっと・・・」

病院は歩いて五分だけど。
多忙な奏弥さんが部屋に帰って来る確率は低い。
今夜は珍しい。
「一人で部屋に居ると…辛いの…」

「それは分かってるけど…我が子を亡くしたばかりの君にNICUの仕事が務まるのか?余計辛いんじゃないのか?」

「奏弥さん・・・」

「・・・俺達には時間が必要だ…俺もなるべく帰って来るから…ゆっくりと休むんだ…遥」

「・・・」

私の仕事復帰を遅らせるのは私への気遣いだった。

聖弥を亡くした喪失感は想像以上に辛かった。

「イブプロフェンは効いてる?」

「まだ・・・飲み始めたばかりだから…分からない」

「そう・・・」

「先にお風呂入るね…」

「あぁ」

夫婦仲も聖弥の存在一つで何だかギクシャクしていた。








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