相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
ああやって、各務さんの前では強がって見せたけど。
大丈夫ではなかった。

遥に余計な気を遣わせまいと気丈に振舞っていた。

俺のメンタルも相当ヤバい。

内緒で精神科医から抗うつ剤を処方して貰っていた。
俺は白衣のポケットに手を突っ込み、医局に戻っていく。

中絶手術だって平然とこなして来た。
目の前で患者の死に何度遭遇したコトか。
それでも、俺はずっと医師として・・・

どんなコトあっても聖弥を救ってやりたかった。

遥の為、俺の為…二人の未来の為に。

俺と遥はもう終わってるかもしれない。

彼女の離婚に応じてしまえば、俺達は赤の他人。
家族ではなくなる。

それだけは嫌だ。嫌なんだ・・・

俺は誰も居ない屋上に出て泣き崩れた。

聖弥の死は俺達の夫婦の絆まで奪い去ってしまった。


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