相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
長谷川副社長の奥さん・杏南さんも臨月を迎える。

彼女の妊娠経過は順調だった。
赤ちゃんも出産の準備の為、子宮口に向かい下降をし始めていた。

「もういつ生まれても…大丈夫ですから…安心し下さい。長谷川さん」

「あ、はい…」

「初産は予定日よりも遅れ気味だと訊いてますが…本当ですか?槇村先生」

「え、あ…はい…でも・・・それは統計上の話なので…予定日前に誕生する初産の方も大勢いますよ。長谷川副社長」

彼が遥の元カレだと知ってから、俺の彼に対する態度が変わってしまった。
俺と遥の間が上手くいっていないから余計だ。

「そうですか…」
彼も俺の態度の変化を感じてるのか…それ以上何も言わなかった。

「では…また来週、お待ちしています」

臨月ともなれば、定期検診は毎週となる。
また、来週も奥さんに付き添うんだろうか?
出来れば、来て欲しくない。

俺は母子手帳に今日の検診内容を書き込み、杏南さんに手渡した。




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