相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「中に案内しますので…二人して抱っこして上げて下さい」
俺は二人を新生児室に中に招き入れた。

杏南さんはぎこちない手つきで赤ちゃんを抱っこした。

「全てのパーツが小さいな…」

長谷川副社長は赤ちゃんの小さな手に触れた。
すると赤ちゃんはギュッと彼の指を掴んだ。

「これが原子反射の一種、把握反射です」

「抱っこする?俊吾」

「勿論」

長谷川副社長が我が子を抱っこした。

これが俺と遥の望んだ幸せ。
妊娠経過が順調なら、俺と遥も…聖弥を抱っこして、幸せに包まれていた。

「槇村先生?」

俺が感傷に浸っていると長谷川副社長が俺に目を向けた。

「ん、あ・・・名前はもう決まってるの?」

「名前は・・・あ」
杏南夫人は彼の方を見た。

「はい…俊樹(トシキ)です」

長谷川俊樹か・・・





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