相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「・・・遥が何か貴方に相談したんですか?」

「いえ…何も…彼女の名前が旧姓に戻っていたから…気になっただけです」

彼もまた院内のウワサを耳にしたんだな…

「皆がウワサするように離婚はしていません・・・でも、彼女が離婚を望んでいる。それが旧姓に戻した意思表示だと」

「彼女の流産が原因ですか?」

長谷川副社長は遥の妊娠を知っていた。

「…長谷川副社長は遥の妊娠を知っていたんですか…そうです…彼女は妊娠してました・・・でも、俺は自分の子の命を救えなかった。一番救いたかった命を救えなかったんです…」

俺はこみ上げる悲しいキモチを堪えるように缶コーヒーを口にした。

長谷川副社長も缶コーヒーを啜った。

でも、やりきれない思いが心の中を埋め尽くしていく。

今にも涙が瞳から零れそうだった。

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