天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「なんだか沖縄行きたくなってきたな」
茉莉花ちゃんと海に行ったらすごく楽しいだろうな。
「そうですね。でも、私は行っても海を見てるだけになっちゃうかなあ……あっ、私、ちょっとカーディガンとってきます」
マズイッて顔をして腕を押さえて立ち上がる彼女の手を掴んで止めた。
恐らく怪我の痕が気になったのだろう。
「俺を気にしてなら、カーディガン着る必要ないよ。もちろん、茉莉花ちゃんが嫌ならいいけどね」
「氷室先生……」
大きく目を見開いて俺を見つめる彼女。
「怪我の痕がある人なんていくらでもいる。俺も中学の時に足の靭帯切って手術してその痕が残ってる」
茉莉花ちゃんの気持ちが少しでも楽になればと、右足の手術痕を見せたら、心配された。
「今はもう痛くないんですか?」
「ああ。大丈夫。それにこれは大事な思い出なんだ。手術してくれた先生に憧れて俺も医者になったからね」
「そんなことがあったんですね」
真剣な顔で相槌を打つ彼女にある話をした。
「父親には最初反対されたけど、『世界的な名医になったら許す』って言われてね」
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