天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「いや、男だ。質疑応答で、論破してやろうかと思って。まあ愛のムチだな」
小鳥遊先生がクスッと笑うが、発表する後輩に同情せずにはいられない。
でも、ひとまず女医さんでないなら安心だ。
チェックインと学会の受付を済ませると、部屋に向かう。
三階のエレベーターを降り、氷室先生は小鳥遊先生に右側を指差しながら声をかけた。
「俺と茉莉花ちゃんはこっちだから」
「ああ。じゃあ」
小鳥遊先生は軽く手をあげて左側の通路に行く。
氷室先生と廊下の奥まで進むと、部屋がひとつあった。
普通はもっとドアがズラッと並んでいるのに、ここは部屋数が少ない。
「ここだな」
先生がカードキーでロックを解除して部屋のドアを開ける。
「あのう、先生、私の部屋は?」
氷室先生に尋ねると、当然のように返された。
「茉莉花ちゃんもここだよ」
ここって……先生と同じ部屋〜!
無理、無理。絶対に無理。
「ちょっと待ってください。それはマズいですよ。他に部屋がないかフロントに確認してきます」
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