天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「いつか行けるといいね。あれは実際見ると感動する」
そんな話をして部屋を出るが、正面玄関の手前でまとめ髪にしている二十後半くらいの美人が氷室先生に声をかけた。
「氷室先輩、よかったあ、会えて。お久しぶりです。今日は小鳥遊先輩は一緒じゃないんですか?」
服、時計、靴、それにバッグは見るからに高級ブランドのもの。
だが、決して派手ではなく、センスよく着こなしているから育ちの良さを感じる。
先生を先輩と呼んでいるということは、この女性も医者なのだろう。
「岩井さん?久しぶりだね。小鳥遊は今誰かの発表聞きに行ってると思うよ」
氷室先生がニコッと笑顔を作って挨拶を返すと、その美人は私にチラッと目を向けた。
「あの……そちらの女性は?」
「ああ。彼女は僕の秘書」
氷室先生に紹介されて軽く頭を下げるが、岩井さんは私には特に挨拶せず、先生に視線を戻した。
「そうなんですね。先輩の年で秘書がいるなんてすごいですね」
「岩井さんは今どこにいるの?」
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