天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「神奈川の病院にいます。まだ研修医ですけど。明日の先生の講演楽しみにしてますね」
氷室先生の腕を掴んで微笑む彼女。
それを見てなんだか胸がもやっとした。
「ああ。じゃあ、僕たちはちょっと出かけるから」
氷室先生が穏やかに微笑んで私の肩に手をかけるが、岩井さんは先生の腕を離さない。
「あっ、待ってください。あの……その……今夜一緒に食事でもいかがですか?久しぶりですし、いろいろお話ししたいです」
どこか緊張した面持ちで誘う彼女を見て悟った。
この人……氷室先生が好きなんだ。
この学会に来たのも彼に会うのが一番の目的だったのかもしれない。
氷室先生はなんて答えるのだろう。
「ごめん。先約があるから」
少しハラハラしたが、先生の返答を聞いて少しホッとする自分がいた。
「そうですか。あの……先生の連絡先教えてくれませんか?」
落胆しつつも、岩井さんは食い下がる。
「あっ、スマホ部屋に忘れて来ちゃったな。なにかあったら、小鳥遊総合病院に連絡して」
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