天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「言われなくても知ってるよ。女と思ってるからキスしたんだし」
突然その話題を持ち出して来たものだから顔の熱が急上昇する。
「先生、周りに人がいるのになに言ってるんですか!」
周囲を気にしながら文句を言ったら、先生は楽しそうに私を見て謝った。
「ごめん。茉莉花ちゃん弄るの楽しくって」
「私は先生のおもちゃじゃないですよ」
そんなたわいもない会話をしながらホテルを出て十分ほど歩くと、ギリシャ神殿建築を模した建物が見えて来た。
美術館のチケット売り場でバッグから財布を出そうとしたら、先生が私の分も購入していた。
「俺が誘ったんだから払わなくていいよ」
「え?でも……」
躊躇する私の手を掴んで先生は歩き出した。
「ほら、次の人が待ってるから」
美術館は平日だったせいか、それほど混んではいなかった。
学会の影響か観光客というよりはお医者さんらしきスーツ姿の男性が目につく。
エル・グレコ、ゴーギャン、モネなどの西洋美術の他にも日本やエジプト美術などもあって、見どころがいっぱい。
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