天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
おまけに有名絵画は氷室先生の解説付き。
ある宗教画が気に入ってじっと見ていたのだけれど、美術館を出る時に先生が小さな紙袋をくれた。
「はい。これ」
「先生、そう言えば売店でなにか買ってましたけど、いいんですか?」
そう聞きながら袋を開けたら、中にポストカードが一枚入っていた。
それは私が見入っていた宗教画のポストカード。
「これ……」
驚いて先生の顔を見たら、彼は甘く微笑んだ。
「ずっと見てたよね」
こういう優しさがとても先生らしい。
ひだまりのような温かさ。
心地よくて、安心する。
「はい。ありがとうございます、氷室先生」
ハニカミながらお礼を言ったら、先生は私の肩を抱き寄せ耳元で囁いた。
「その顔反則。他の男には見せないように」
「先生こそそんなセクシーな声で囁かないでください」
あたふたする私を見て氷室先生は悪戯っぽく笑った。
「ごめんね。これ地声だから」
「もう先生!」
上目遣いに睨む私の手を先生が握ってきてドキッとする。
「カフェでお茶でもしよう」
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