天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
香織さんにも頼まれてたし、ここはオーケーさせてはいけない。
「申し訳ありませんが、先生たちは明日講演がありますので、またの機会にお願いします」
秘書らしく強い態度で対応したら、その女医は眉をひそめ渋々この場を去った。
「茉莉花ちゃん、急にどうしたの?本当の秘書みたいだよ」
面白そうに目を光らせる氷室先生にもっともらしい言い訳をする。
香織さんのために小鳥遊先生を守らなきゃいけないし、氷室先生にもしっかり休んでほしい。
それに、氷室先生が女医さんに囲まれるのを見ると、胸がざわつく。
「明日は大事な日なのでしっかり寝てほしいだけです」
「茉莉花ちゃんが添い寝してくれたらぐっすり寝れると思うんだけどな」
氷室先生がそんな軽口を叩くので、できるだけ平静を装い素っ気なく断った。
「そ、それはダメです。ひとりで寝てください」
「冷たいな。茉莉花ちゃんが熱出した時は看病してあげたのに」
「うっ、でも先生、今すっごく元気じゃないですか」
私が狼狽えながら指摘したら、氷室先生は額に手を当てた。
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