天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
いつものように表情を変えずに挨拶を返すと、小鳥遊先生は氷室先生と講演の話をし出した。
それが今の私には有り難い。
心を落ち着ける時間が必要だったから。
一階にあるレストランはブッフェ形式で四人がけのテーブルに私と氷室先生が並んで座り、氷室先生の向かい側に小鳥遊先生が座った。
横にいる氷室先生が気になるが正面に座られるよりはいい。
ひたすら心を無にしてフレンチトーストを食べていたら、昨日会った岩井さんが氷室先生たちに声をかけた。
「おはようございます。ご一緒させていただいてもいいですか?ひとりで食べるのはちょっと寂しくて」
「ごめん。うちの病院の打ち合わせも兼ねてるから」
氷室先生がにこやかに断ると、彼女は「そうですか」と笑顔を作ってこの場から去る。
その後ろ姿をジーッと眺め、小鳥遊先生がポツリと呟いた。
「相変わらず氷室狙われてるな。お前が結婚しても言い寄ってきそう」
「そうなる前にどこか僻地にでも行ってもらおうかな」
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