天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「関係ありますわ!氷室先生は……あの方は医学会の宝ですのよ。その方の邪魔をしないでいただきたいわ。それに氷室先生は氷室製薬の御曹司ですのよ」
「氷室製薬の御曹司?」
彼女の話に驚いてつい声をあげる。
氷室製薬と言ったら、日本最大の製薬会社。世界でもトップスリーに入る製薬会社で、年商は片岡製薬の三倍という大企業。
確かにすごい御曹司だ。
兄が氷室先生に難色を示していたのも、氷室先生が何十万もするホテルのスイートに泊まれるのも納得。
でも、先生は自分の力で今の地位を築いてきた。
「その顔、知らなかったようですわね。あの方はあなたとは住む世界が違いますのよ」
どこか自慢げに言う彼女の態度にイラッとする。
この人は先生のなにを見ているのだろう。
氷室先生は患者さんの命を救うためなら地位や名誉だって捨てられる人だ。
「先生はそんなこと言いません。みんなを平等に扱ってくれますし、私のこともチームの一員として見てくれています」
「チームですって?秘書のあなたが今日の先生の講演を聞いて理解できたのかしら?」
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