天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「正直言って他の先生の講演は全く頭に入ってきませんでしたが、氷室先生のは理解できたように思います。手術してみろって言われたら困りますけど」
私の返答を聞いて彼女は片眉をあげた。
「はあ?医者でもないあなたに理解できるわけがないわ!嘘を言わないでよ」
岩井さんが私の腕を強く掴んできて、その痛みで顔を顰めたその時、氷室先生が現れて彼女の手を振り払った。
「もし彼女が理解できていないなら、それは僕の責任だ。僕の秘書を悪く言うのはやめてくれないか」
氷のように冷たい目で言い放つ先生。
そんな先生を初めて見た。
「悪くなんて言ってません。私はただ彼女にアドバイスを……」
氷室先生の登場に驚いた彼女は急にしおらしい態度になる。
「君はもうちょっと冷静になった方がいい。君の声が会場中に響いてた。今後僕の秘書を悪く言うことがあれば、それは僕への侮辱と受け取る。じゃあ」
氷室先生が私の背中に手を添えて歩き出すと、岩井さんが悲痛な声で彼に訴えた。
「氷室先生、私は先生のことを考えて……」
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