天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「もうこれ以上僕には近づかないでほしい。もちろん、彼女にもね。頭のいい君なら僕の言うことを理解してくれると信じてるよ」
先生は足を止め、岩井さんの顔は見ずに告げた。
ソフトな言い回しだったが、逆に先生の怒りが伝わった。
俺の前から消えろと先生は言ってる。
好きな人にそんなことを言われたら、ショックで寝込むだろうな。
私も先生にそんなこと言われたら目の前が真っ暗になるかも。
あれ?なんでそこまで落ち込むの?
ああ〜、考えるな。
「先生、スマホ返しますね」
会場を出ると、先生にスマホを渡した。
「茉莉花ちゃん、俺のせいでごめんね」
氷室先生がスマホをポケットにしまい、心から私に謝る。
「先生が悪いわけじゃありませんよ。私は気にしてません。父の会社にいた時も、兄のファンの女の子にいろいろ言われて慣れてますから」
笑ってみせるが、先生は真剣な表情で私を見つめる。
「それは慣れてるんじゃない。頭でそう思ってるだけで、心は傷ついてる。今までよく頑張ったね」
その言葉が心にしみる。
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