天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
田辺さんのその声が悪魔の囁きに聞こえた。
「私はそんな話信じません」
「あなたが家族を愛してるなら僕に連絡をください」
彼は内ポケットから名刺入れを取り出し、一枚抜いてテーブルに置いた。
「では、失礼します」
私の耳元で告げ、田辺さんはフッと不気味に笑って去っていく。
信じるな。田辺さんは信用できない。
さっきの話は嘘に決まってる。
でも、父の会社の経営状況を私はなにも知らない。
もう関わりたくなくて、片岡製薬に関する情報は全てシャットアウトしてきた。
バッグからスマホを出して、兄に電話して確認しようとしたがやめた。
もし田辺さんの言うことが本当なら兄は経営が苦しいなんて言うはずがない。
それは父も同じだろう。
聞くだけ無駄だ。
私……どうすればいい?
田辺さんと結婚すれば父の会社は助かる?
でも彼が嘘をついている可能性だってある。
テーブルに置かれた名刺を手に取り、自問自答していたら、氷室先生に声をかけられた。
「茉莉花ちゃん、待たせてごめんね。顔青いけど、気分でも悪い?」
「私はそんな話信じません」
「あなたが家族を愛してるなら僕に連絡をください」
彼は内ポケットから名刺入れを取り出し、一枚抜いてテーブルに置いた。
「では、失礼します」
私の耳元で告げ、田辺さんはフッと不気味に笑って去っていく。
信じるな。田辺さんは信用できない。
さっきの話は嘘に決まってる。
でも、父の会社の経営状況を私はなにも知らない。
もう関わりたくなくて、片岡製薬に関する情報は全てシャットアウトしてきた。
バッグからスマホを出して、兄に電話して確認しようとしたがやめた。
もし田辺さんの言うことが本当なら兄は経営が苦しいなんて言うはずがない。
それは父も同じだろう。
聞くだけ無駄だ。
私……どうすればいい?
田辺さんと結婚すれば父の会社は助かる?
でも彼が嘘をついている可能性だってある。
テーブルに置かれた名刺を手に取り、自問自答していたら、氷室先生に声をかけられた。
「茉莉花ちゃん、待たせてごめんね。顔青いけど、気分でも悪い?」