天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
咄嗟に名刺を隠してスーツのポケットに突っ込む。
「大丈夫です。学会って初めてだから緊張しちゃって」
ニコッと笑ってそんな言い訳をする私をしばし見つめ、頬にそっと触れてきた。
「そう?ならいいけど、具合悪くなったら言って」
「はい。ありがとうございます。先生もなにか飲みますか?」
メニューを取ろうとする私の手を先生が掴む。
「いや、いい。小鳥遊探してなにか食べに行こう。もうお昼だし」
先生と一緒にカフェを出ると、小鳥遊先生と合流し、ランチを食べに行った。

その日の夜、シャワー浴びて荷物をまとめていたら、今日着たスーツのポケットの中から名刺が出てきた。
「これ……」
いつもの自分ならとっくに捨てていただろう。
でも、捨てられない自分がいる。
父の会社が危ないって話を田辺さんから聞いて嘘だと思おうとしても、不安を拭い去ることはできなかった。
私……どうすればいい?
私が田辺さんと結婚すれば本当に父の会社は助かるの?
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