天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
でも、氷室先生のことが好きだって気づいたばかりなのに、田辺さんと結婚するなんてそんなの嫌だ。
じゃあ、父や兄はどうなってもいいの?
ううん、そんなのよくない。
名字は違っても血の繋がった父と兄なのだ。
自分の気持ちより家族の方が大事。
私の氷室先生への思いは胸にしまっておけばいい。
スマホを手に取り、田辺さんに電話をかけようとしたら、ノックの音がした。
「は、はい、どうぞ」
手に持っていた名刺とスマホをベッドに隠して返事をすると、氷室先生が入って来た。
「茉莉花ちゃん、明日の朝チェックアウトしたら、後楽園に行ってみる?岡山駅に近いからちょっと寄って散歩するくらいできるよ」
「いいですね。岡山城見てみたかったんですよ。お城眺めるの好きで。それじゃあ、早く寝なきゃ。先生、おやすみなさい」
先生との会話を早く終わらせようとしたが、突然私のスマホが鳴った。
だが、今出れば田辺さんの名刺を先生に見られる。
そしたら、どうして彼の名刺を持っているのか聞かれるだろう。
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