天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
その発言に驚いて目を開けたら、優しい目をした先生と目が合った。
「先生……」
彼の目を見ただけで涙が込み上げてくる。
「田辺になに言われたの?ひとりで悩んじゃダメだよ。俺がついてるから」
先生は私の態度で確信したのか、田辺さんの話の内容を聞いてくる。
「……父の会社が危ないって。それで……田辺さんと結婚すれば父の会社を助けてくれるって」
しゃくり上げながら話す私を氷室先生は包み込むように抱きしめる。
「ひとりで悩んで辛かったね。でも、大丈夫。片岡製薬は今年度も順調に売り上げを伸ばしていて、危機的な状況ではない。俺が保証する。岩井さんが話してたと思うけど、氷室製薬の社長が俺の親父でね。業界のことはよく知ってる」
「本当ですか?」
顔を上げて確認する私の目を見て彼はゆっくりと頷く。
「ああ。茉莉花ちゃんのお父さんも聞かれたら同じように答えたと思うけど、心配されると思って聞けなかったの?」
「業績が悪化してても娘の私に本当のことは言わないと思ったんです」
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